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コンタクトセンター(コールセンター)におけるAIエージェント活用

コンタクトセンターは、企業が顧客とのコミュニケーションを担う重要な窓口です。近年、AI技術の進歩により、電話やチャットでの問い合わせ対応を自動化する「AIエージェント」の活用が急速に広がっています。 AIが応対を代替してくれることで、24時間365日の受付や、ヒトでは捌ききれない数の問い合わせにも対応できるため、ビジネス全体の効率化に大きく寄与しているのが特徴です。とはいえ、AIと一口に言っても「生成AI」と 「AIエージェント」では目的や使い道が異なります。そこで本記事では、AIエージェントと生成AIの違いを分かりやすく解説し、実際にAIエージェントサービスを提供している企業についても紹介いたします。

AIエージェントと生成AIの違い

AIエージェントと生成AIは、いずれもAI技術を活用しているという点では共通していますが、その「役割」と「動き方」に大きな違いがあります。

まず、生成AIは文章や画像、音声などを「生成」するのが専門です。過去に学習したデータパターンをもとに、新しいコンテンツを作り出す点が大きな特徴です。たとえば、お客様から「○○についての短い文章を作ってほしい」「写真から別のイメージを合成してほしい」などというリクエストに対して、ひとつの作品を返す、または文章を提案するなど、何らかの新しいアイデアや創作物を提示してくれます。ChatGPTやDALL-Eなどが代表例としてよく知られており、クリエイティブな場面や文章作成でサポートを受けるのに向いています。一方で、生成AIは何かしらの指示(プロンプト)があってはじめて動作し、そこで提示された情報をもとにコンテンツを生み出す「受動的」な側面が強いのです。

一方、AIエージェントは、与えられた「目標」を達成するために、自律的に動く点が最大の特徴です。状況に応じて適切な行動を判断し、外部システムと連携したり、段取りを考えて実行したりと「能動的」な性質を持ちます。コンタクトセンターの例で言えば、お客様からの問い合わせ内容を把握し、必要があれば内部のデータベースを参照し、回答を生成すると同時に、必要な手続きを自動で行い、レポート作成や担当者への連絡まで一連のタスクを自律的に実施するなど、単に回答するだけでは終わりません。もし問い合わせが複雑で人の判断が必要なら、人間のオペレーターにエスカレーションすることも可能です。

生成AIがコンテンツ制作に秀でているのに対し、AIエージェントは「目的達成に向けてマルチステップの作業を組み立て実行する」という点で力を発揮します。最近では、AIエージェントのシステム内で生成AIの高い文章生成能力を活用するケースが増えています。例えば、Amazon Web Services (AWS)は自社のコンタクトセンターサービス「Amazon Connect」に生成AI機能を搭載し、LLMを組み込んだエージェント支援機能「Amazon Q」を提供しています。これにより、通話中のオペレーターに対し顧客の意図を理解して最適な回答や次のアクションをリアルタイムで提案する仕組みが実現しています。

また、AIエージェントの動作プロセスは「認識」「判断(推論)」「実行」の3つのステップに分けられ、「判断(推論)」の段階では大規模言語モデル(LLM)などが内部知識や検索結果をもとに情報を整理し、推論を行います。
これらの技術の組み合わせにより、AIエージェントはより高度で柔軟な対応が可能になり、コンタクトセンターの効率化と顧客体験の向上に貢献しています。

コンタクトセンター(コールセンター)でAIエージェントサービスを行っている会社一覧

ここからは、実際にAIエージェントを活用したコンタクトセンターサービスを提供している会社を紹介します。

トランスコスモス

トランスコスモス_HPキャプチャ
画像引用元:トランスコスモス公式HP(https://www.transcosmos-cotra.jp/dccp)

トランスコスモスは、日本国内で長年にわたりコールセンター事業を展開している企業で、1966年の創業以来、顧客企業に対して豊富な運用ノウハウと多様なサービスを提供してきた実績があります。電話やチャット、SNS、メールなど幅広いチャネルで顧客対応を行う総合的なコンタクトセンターを運営し、企業と顧客を結びつける重要な役割を担っています。

同社では、近年のAI技術を活用したソリューションも積極的に取り入れている点が特筆されます。具体的には、AIを活用することで24時間365日の体制を構築し、問い合わせの自動応対を実現するなど、コールセンターの効率化・高度化を支援しています。これにより、夜間や休日の対応コストを大幅に削減するとともに、オペレーター不足による呼損(電話を取りこぼすこと)や機会損失を抑え、顧客満足度を向上させることが期待されています。

さらに、繰り返しの定型業務や、マニュアルに沿った画一的な問い合わせ対応などはAIに任せることで、現場のスタッフはクレーム対応や高度な知識が必要となる相談業務など、付加価値の高い作業により多くの時間を割けるようになります。こうした人間とAIの協業によって、コンタクトセンター全体のパフォーマンスを高め、企業が顧客との関係を深める上で大きな効果を生み出しています。

トランスコスモスは、コールセンター運営の長い歴史と数多くのプロジェクトで培ってきた実績を背景に、最新技術を柔軟に導入していることが強みです。実際、顧客企業の業種や特性に合わせてシステムやサービス内容をカスタマイズし、必要なサポート体制を整備することで、多様な要望にきめ細かく対応できる体制を築いています。こうした総合力と柔軟性が、AI活用においても大きな武器となっており、顧客企業のニーズに応じたソリューションを提供できる点が評価されています。

ニュウジア

ニュウジア_HPキャプチャ
画像引用元:ニュウジア公式HP(https://www.niusia.net/)

ニュウジアは、AI技術を活用した多彩なソリューションを提供している企業で、特に「AIコールセンター」を中心とするサービスが注目を集めています。受電率を高めつつ業務コストを抑えたいというコールセンターの課題に対して、AIエージェントが電話やチャット、メール、さらにはLINEやSNSなどの複数チャネルをまたいで顧客対応を行う仕組みを整えていることが特徴です。実際に、同社のAIソリューションは「受電率100%」を目指すとしており、ピーク時にも同時多数の入電を捌くことが期待できるため、人手不足や夜間・休日の問い合わせ対応によるコスト負担の増大を防ぐのに大いに役立つと考えられます。

また、多言語対応を含むグローバルな顧客サポートにも力を入れており、約90カ国語におよぶ音声やテキストのやり取りを可能にする機能を実装しています。これにより、海外の顧客を抱える企業でも時間帯や地域を問わず、スムーズに問い合わせを受け付けられる環境が整います。24時間365日体制での運用を念頭に置いたシステム設計も評価されており、従来はオペレーターが確保しづらかった時間帯や繁忙期における呼損を大幅に減らすことができる点が強みとして挙げられます。

まとめ

以上、AIエージェントの基本的な違いや、コンタクトセンターでAIエージェントをのサービスを提供している会社を紹介しました。 業務効率化や対応力の強化を検討するうえで、AIエージェントは一つの有効な選択肢です。まずは、自社の課題にフィットするかどうかを見ながら、情報収集や比較から始めてみるのがおすすめです。

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